容量の多いデータ保存に欠かせないのがHDDですが、最近では、高容量HDDの販売価格も下がってきています。
Seagate社のHDDと言えば、BarraCuda・FireCuda・IronWolf・SkyHawkと4つのシリーズが用途別で販売されています。
この4つのシリーズの中で、NAS・ファイルサーバー向けのIronWolfシリーズのHDDがありますが、IronWolf 8TB(ST8000VN004)はどの程度の性能、そして、ベンチマークを測定したらどのような結果になるのか製品レビューしていきます。
Seagate IronWolf シリーズとは
SeagateのHDDは、用途別に4つのシリーズが発売されています。
シリーズ名 | BarraCuda | FireCuda | IronWolf | SkyHawk |
モデル名 | BarraCuda BarraCuda Pro | FireCuda | IronWolf IronWolf Pro | SkyHawk |
使用用途 | PC/ゲーミング向け | PC/ゲーミング向け | 常時稼働 NAS ファイルサーバー向け | 常時稼働 監視カメラ録画向け |
最大容量 | 12TB | 2TB | 12TB | 10TB |
コンシュマー向けHDDシリーズBarraCudaは、販売価格も安く容量当りの単価もかなり抑えられているので、PC用ストレージとして人気があります。
ただ、記録方式がSMR方式となっているので、常時HDDのデータ書き換えが発生するケースだと、若干もたつくことが考えられます。
しかし、常時稼働を想定してNAS/ファイルサーバー向けとして販売されているIronWolfシリーズの場合、記録方式が従来のCMR方式となっているので常にHDDの書き換え作業が発生する場合でも、パフォーマンス自体が低下することは非常に少ないです。
参考記事 「SMR?CMR?HDDの書き込み方式は2種類-ロジテック」
Seagate IronWolf 8TB(ST8000VN004)の仕様・詳細
モデル番号 | ST8000VN004 |
容量 | 8TB(8000GB) |
サイズ | 3.5インチ |
記録方式 | CMR |
プラッタ数 | 5(1枚1.6TB) |
回転数 | 7,200回転 |
キャッシュ | 256MB |
インターフェイス | SATA 6Gb/秒 |
最大連続転送速度 | 210MB/秒 |
標準動作モード時の消費電力 | 10.1W |
アイドル時の平均消費電力 | 7.8W |
スタンバイ/スリープモード時の消費電力 | 1W/1W |
ロード/アンロード・サイクル | 600,000 |
通電時間 | 8,760 |
作業負荷率制限 | 180TB/年 |
動作温度 | 0~65℃ |
本体サイズ | 101.85mm×146.99mm×26.11mm |
本体重量 | 720g |
平均故障間隔 (MTBF、時間) | 1,000,000 |
製品保証期間 | 3年 |
データ復旧サービス | 3年 |
発売日 | 2019年7月 |
平均価格/容量 | 3.53円/GB (2020年3月時 平均28,283円) 3.35円/GB (2020年9月時 平均26,814円) 3.57円/GB (2021年5月時 平均28,634円) 3.34円/GB (2021年10月時 平均26,766円) |
データシート(PDF) | Seagate公式サイト |
Seagate IronWolfの特長
最大転送速度は210MB/秒でキャッシュも256MBとなっているので、レスポンス良くデータを読み書き出来ます。
常時稼働を想定(NASやファイルサーバー等)しているHDDなので、コンシュマー向けHDDのBarraCudaシリーズ等と比べて、耐久性や信頼性の部分に関する部分が大きく異なってきます。
具体的に言えば、NASなどに搭載する想定でHDDを複数台設置すると共振することで、パフォーマンスが低下するのを抑えるための機能として、RVセンサーで振動を検知して読み出し低下を防ぐように設計されています。
耐久性などの部分で言えば、ロード/アンロードサイクルや作業負荷率制限(180TB/年)、平均故障間隔(100万時間)など、高い信頼性を誇っているので大事なデータを安全に保存できます。
製品保証期間は3年、そして、無料のデータ復旧サービスが付いてくるのは特筆すべき点。
ただし、Seagate社の海外ラボでデータ復旧されるので、即日対応とならない点は注意が必要です。
Seagate IronWolf 3.5インチHDD 8TB(ST8000VN004)のベンチマーク結果
購入時点でのベンチマーク結果
今回ベンチマークを計測(SATA接続)したのはSeagate IronWolfシリーズの8TBモデル(ST8000VN004)ですが、シーケンシャル読込み約265MB/秒・書込み262MB/秒となっています。
読込み・書込みで260MB/秒出ているのは、HDDとして見た場合ではかなり高速な部類になるのでは。
あくまで参考ですが、Barracuda(ST4000DM004)のベンチマーク結果で比べると、購入当初は読込み約189MB/秒・書込み約174MB/秒となっているので、Seagate IronWolfシリーズの性能の高さが分かるのでは。
ただし、Seagate IronWolfシリーズの8TBモデル(ST8000VN004)は回転数が7,200RPMとなっているので、少々発熱性が高くなっています。
HDD本体にエアーが当たりずらい環境だと、本体自体が53℃まで発熱したケースがあります。
HDD自体が故障したりする原因の多くは、実はHDDが熱を持ちすぎたりする場合が多く、Seagate IronWolfシリーズの8TBモデル(ST8000VN004)を使用する時は、発熱を低下させるエアフローを考える必要がありそうです。
購入から4ヶ月(1,000時間)経過時のベンチマーク結果
購入から4ヶ月程使用して、HDD容量の約半分程使用した状態での、IronWolfシリーズの8TBモデル(ST8000VN004)のベンチマーク結果です。
シーケンシャルリード(読み込み)約250MB/秒・ライト(書き込み)約245MB/秒と若干性能低下が見られますが、ランダムアクセス性能に関しては性能低下は見られないです。
特にランダムアクセス性能が重要になってくるので、Seagate IronWolfシリーズのHDDはやはり、NASやファイルサーバー用途として最適なHDDと言えるのでは。
もちろん、保存するデータが重要な場合なら、Barracudaシリーズより価格は高くなってきますが、通常のPCのデータ保存用HDDとしてSeagate IronWolfシリーズのHDDを使用するのも悪くない選択です。
購入から約2年使用(約19,000時間)経過時のベンチマーク結果
購入から2年程使用(約19,000時間)して、HDD容量の約半分程使用した状態での、IronWolfシリーズの8TBモデル(ST8000VN004)のベンチマーク結果です。
シーケンシャルリード(読み込み)約219MB/秒・ライト(書き込み)約217MB/秒と性能低下が見られますが、ランダムアクセス性能に関しては性能低下は見られないです。
まだこれでも、性能は一般的なHDDと比べて上を維持している状態です。
まとめ:価格は高いがその分の信頼性や耐久性、性能があるNAS向けHDD
HDDメーカーのSeagate社から発売されているHDDには、4つのシリーズがあります。
その中でもNAS/ファイルサーバー向けとして販売されているIronWolfシリーズの場合、記録方式が従来のCMR方式となっているので常にHDDの書き換え作業が発生する場合でも、パフォーマンス低下が非常に少ないです。
価格の安いBarracudaシリーズのHDDは記録方式がSMRなので、保存するデータなどによっては性能低下が見られるので、信頼性や耐久性の高い記録方式がCMRのIronWolfシリーズのHDDを選択した方がいいケースも多いのでは。
特にNASやファイルサーバー等のランダムアクセスが多い場合には、IronWolfシリーズのHDDを選択すべきとも言えます。
最終更新日:2023/12/27
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